1.慢性腰痛とは

慢性腰痛(以下腰痛と略)は非常によく起こり重症化することが多い、影響の大きい健康問題です。

腰痛に対し一般にリハビリテーションで用いられるような投薬、超音波、レーザー、温冷、牽引、電気刺激療法などによる長期的な効果を裏付けるエビデンスはありません。

しかし、エクササイズは腰痛に悩める人々の疼痛と障害を減少させることが示されています。

 

2.慢性腰痛の種類

腰痛には大きく分けて2つのタイプがあります。

腰を反ると痛いタイプと、曲げると痛いタイプです。

本来ニュートラルな位置にあるべき腰椎が前または後ろに偏位し、重力に負けることで機能破綻を起こしたといえます。

つまり、重力に負けて前に潰れたのが反ると痛いタイプ(前傾型)、後ろに潰れたのが曲げると痛いタイプ(後傾型)です。

このストレスが続くと、機能障害と構築的破綻をきたします。
・前傾型(腰椎の過伸展):腰椎変性すべり症、腰椎分離症、腰椎分離すべり症
・後傾型(腰椎の過屈曲):腰椎椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折、腰椎捻挫

 

3.慢性腰痛の方へのエクササイズ

一般的には、症状が出る動きと逆のエクササイズが提供されています。
腰を反ると痛いタイプの人は屈曲のエクササイズ
腰を曲げると痛いタイプの人は伸展のエクササイズ

 

4.慢性腰痛の方におすすめのセルフケア

なぜ腰椎がニュートラルポジションから偏位するのでしょうか。

ニュートラルポジションは抗重力伸展活動(elongation エロンゲーション)によってつくられます。

ニュートラルポジションからの逸脱は、抗重力伸展活動の低下を表しています。

つまり多くの腰痛の原因はエロンゲーションの不足であるといえます。

エロンゲーションは腰椎をニュートラルに位置させるだけではなく、四肢にかかってくる外力に対して腹筋群の緊張を高めることで、体幹を安定させる『コア』をつくります。

腰痛にはエロンゲーション、つまり「伸びること」が重要なのです。

5.あとがき

ピラティスの『コア』に対する効果

すべての動きは『コア』から始まります。

最も深層の腹部の筋である腹横筋については脊柱の安定化機構として、その重要性が文献と臨床の両方において確立されています。

腰痛の方では、四肢をあらゆる方向へ動かす際に腹横筋の筋活動の遅延がみられます。

脊柱の安定性を高めるための腹横筋の再教育は、腰痛のリハビリテーションの概念として広く受け入れられています。

腹横筋に加えて直接体幹部に付着し、脊柱の安定性を提供する深層筋群には、腰部多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群があります。

ピラティスの特定のエクササイズによるアプローチは、脊柱に付着している深層筋群の同時収縮を再教育することを第一に狙っています。

その結果、このアプローチは腰痛に悩める人々の疼痛をコントロールし、神経筋機能障害を軽減させる効果があることが示されています。

ではどのように体幹の深層筋を促通すればよいのでしょうか。

特定のピラティスのエクササイズが腹部深層筋を活性化することについて根拠を示した研究があります。

この研究では、超音波を用いて古典的なピラティスのエクササイズ(マットでのインプリント、ハンドレッド、ロールアップ、レッグサークル、リフォーマーでのハンドレッド)を
実施した際、安静背臥位と比較して、腹横筋と内腹斜筋の両方で筋活動を意味する筋厚の有意な増加を認めたそうです。

いくつかのエクササイズではリフォーマーの使用が腹横筋のさらに活性化させる結果となることを明らかにしています。